思ったことを認(したた)めるブログ

日々暮らす中で思った、ちらしの裏に書くようなことを書いていきます。

味方を作ってマーケティング

今時、SNSが発達する中で、お店選びの方法も変わってきているのではないでしょうか。そんな中で、今の時代に適したマーケティング戦略は、タイトルの通り「味方を作る」マーケティングではないでしょうか、というのが今日のお話です。特に今回は誰でもイメージしやすい、飲食店を例にしていきたいと思います。

画一的な情報源から多元的な情報源へ(全体論
昔はみんなが同じテレビ番組やラジオ番組を聴いていたという印象はないでしょうか。私は割と若いのでそこまでですが、その昔で言えば8時だよ!全員集合なんかを日本国民全員が見ているようなレベルだったとよく聞きます。また、ラジオなんてのもみんなが聴いていることはなかったでしょうか。どうでもいいですが、昔母親がラジオ番組にはがきを投稿する時にペンネームを使っていたのにも関わらず、本名を読まれて次の日にはクラスの全員がそのことを知っている、なんてことがあったそうです。
一方で今日ではどうでしょう。インターネットの発達により、そもそもテレビ番組を見ている人はかなり減ったのではないでしょうか。今でもドラマ番組なんかは一定数の国民がみんな見ているものだと勝手に思っていますが、昔はみんな見ていたであろうバラエティ番組、例えばエンタの神様みたいな番組ってだいぶ減ったのではないでしょうか。そもそも私はあまりテレビを見ないのですが、それでも職場の人や友人と喋っていても、「あの番組の話なんだけど…というか、あの番組見てる?」という枕詞が入っていることが増えたなぁという感覚があります。テレビですらそれなのに、インターネットともなるともっと細分化されていきます。最近では「あのYoutuberが〜」なんて会話を聞きますが、今何人Youtuberがいて、そのうちの何人を知っているんだろう、と別のところに疑問が湧いてきます。
要するに、これまでみんなが同じコンテンツ、同じ情報源を見ていたところからそれぞれ別のコンテンツ、情報源を見るように時代が変化してきているのではないでしょうか。まだまだテレビが幅を利かせている側面もある中で、テレビ番組に出たお店は次の日人がいっぱいなんていうこともよくあります。ただし、テレビは全国区の番組だと東京とか大阪の周辺のお店、京都などにある歴史のお店、そしてたまにある田舎にあるすごいお店、といったところしか紹介されないのが実情と言えると思います。そんな中で、やはりお店探しは簡単に地域を絞れるインターネットを利用することが多いのではないでしょうか。

プラットフォーマーの出現
インターネットが重要な情報源として出てきた中でも、今回の話でいう飲食店業界について言えばそれでもまだまだ一強の時代が長かったと思います。誰もが使ったことがあるであろう、「食べログ」です。今の20代後半より上の人は、食べログの評価を見てお店の良さを選んだりすることがあるのではないでしょうか。会社によっては、食べログの評価が3.5以上じゃないとダメ、なんていう縛りがあったりするという噂を聞いたことすらあります。確かに、多くのお店が登録していて、ランキングもついていてとても便利なサービスですよね。
でも、前の話にも関係しますが、そもそもあの評価がどうやって出ているかを考えたことがありますでしょうか。もちろん、口コミの評価をのせているわけですが、決してそんなうまくいく話ではないですよね。食べログのビジネスモデルを考えてみればなんとなくわかるかと思いますが、基本的に食べログはお店から広告料をもらって掲載しています。ビジネスでやっている以上、多くお金を払ってくれるお店を検索時に出やすくするのは当然ですし、全く問題ないと思うのですが、一部でよく言われているのは「印象形成を行っているのではないか」、つまりお金を多く払うお店の口コミはいいものばかりを載せ、悪いものに至っては削除しているのでは、なんていう悪評まで立っています。

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他に結婚や美容、何より就職関係で大きなシェアを誇っているある会社さんなんてのは本当にこういったビジネスモデルでやっていて、すごい偉大だし利用者側としては便利なこともある反面、いざ自分がサービスを提供する側に移った時には、まずそのサービスに投資しなければ市場でも認知されない、その上多くのお金を払わないと有象無象の中に埋もれてしまう、という消耗戦を強いられる非常にしんどい状況に陥ってしまうわけですね。
(余談1)
もっとも、「評価」と「実際の味、サービス」の関係なんてかなり曖昧なんですよね。普通に考えれば実際に店を訪れた人が味、サービスを受けて、評価をつけたものが口コミ、要するに因果関係の”因”が「実際の味、サービス」で、”果”が「評価」だと感じますが、実際にそうとは限りません。Twitterでは一時期話題になっていた「ラーメンハゲ」の話はずばりそんなことを書いていましたね。ちなみに、血液型占いなんかでも同じように因果が逆になっているという話もありますので、ご興味のある方は「予言の自己成就」なんかいうワードで検索されると楽しいかもしれませんね。

(余談2)
最近は消費者のヘイトを溜めて、若干下火になっている一方でGoogle mapsの評価が次は信頼され始めているような気もします。でもこれも結局、次はGoogleで見た情報が全てになって…という結局こういう流れからは逃げられないんだろうなぁと勝手に想像しています。

新たに出てきた広告媒体、SNS
そんな中で新しく出てきたのがみなさんご存知SNSですね。最近は特にTwitterなんかで個人の投稿でお店を広告する、なんてことをかなり目にするようになりました。これは飲食関係ではなく、漫画とかそのほかのサービス関係なんかでもかなり頻繁に見られるようになったと言えると思います。
話をメインの飲食関係にすると、外国人店主(インド人のカレー屋さんが多いイメージ笑)の面白い、ほっこりするツイートとか、キャンセルで困り果てた店主の悲鳴のようなツイートが一番最初に思い浮かびます。でも、そういった広告の仕方をするべきだ、とは決して思いません。店主の属性で大きく売り出せるコンテンツ、本当に困っていることがない中で無理やりコンテンツを作ろうとしてもチグハグになってしまいます。また、漫画界隈でよくある「なんだよ、結局本人がバズ狙ってやってるだけじゃねえか」という目の向けられ方をされる可能性もあります。後ほどの話にもつながりますが、一部の客なんて放っておけばいいものの、精神衛生上よくないですしね。まぁ、Twitterなんていう魔境で過ごしている以上、絶対精神衛生上何らかの損失を受けていると個人的には思っているのですが。
そうじゃないパターンは、と言われれば間違いなくお客側からの投稿です。「こんなにすごいお店があった!」「ここのお店のこのパフェは絶対食べるべき!」なんていう投稿がバズった場合、お店側としてもやらせでやっていない以上、先ほどのような謎の責められ方をすることはありませんし、何よりその投稿をしてくれたお客さんのリピートをかなり期待できるということにもつながります。要するに、本当に本質的なところ、根本的なところに戻ってくるのですが、自分のお店のファンである人、自分の味方を作ることがSNSが流行っている今だからこそマーケティング戦略の一つとして非常に重要なのではないでしょうか。なんたって、お客さんを味方につければ宣伝費は0で、しかも手間すら0で広告できてしまうわけですからね。

お客さんを味方にするのに大事なこと2つ
そんなことわかってるんだよ、じゃあ何をすればいいんだよ!という声が聞こえてきそうですが、私個人としては2点あると思います。
1. 本質的なサービスの向上
当たり前すぎるし、地道な努力が必要なのですが、これが何より大事だと思います。なんてったって、誤魔化してお店に来てもらったところで、「やっぱりこのお店に来てよかった!」と思ってもらわなければ全く意味がないどころか、悪評を書かれて(=敵を作って)しまい、前よりも評判を落とすことになりかねません。だからこそ、一朝一夕で改善されるものではないですが、お客さんに喜んでもらえるようなサービスや商品開発、または改善を図ることが何よりも重要だと言えるでしょう。いやいや、そんなことわかってるんだよ、もっと違う話を聞かせてくれよ、という声が聞こえてきそうですね。
2. こだわりを持って、迎合しない(ターゲットを絞る)
1.よりずーっと簡単で、テクニカルチックな話がこちらです。お客さんを味方につけたい!と思っても、全てのお客さんに愛されるお店を作ろうとすると労力が半端ないですし、一定層の人は何をしたってアンチになると思います。そこで、こだわりを持つことが必要だと考えます。このこだわり、というのも2つあると思っています。
(1)商品のこだわり
例えばイタリアンのお店で、ピザ、パスタ、リゾットといった商品がある中で、全ての商品のレベルを上げようとするとそれだけ割けるリソースがなければ話になりません。そういった中で、例えば「とにかくうちはピザがメインのお店なんだ」という信念を持ってやれば、お店の宣伝にも使えますし、何よりピザの質向上に十分なリソースを割くことができるので結果としていい物が出来上がるのではないでしょうか。そこから得られた技術やノウハウをほかの料理に転用することも考えられますね(他業種や他料理に進出するのはこのパターンが多い気がします)。
(2)店の雰囲気のこだわり
そもそも料理で差別化を図るのは難しい!なんていうこともあるかもしれません。そこは飲食店としてどうなんだ、という気もしますが、そんな綺麗事ばかり言っていられない現状もあると思います。その中で、お店の雰囲気というのは差別化を図ることができる大きなポイントだと思います。昔、マクドナルドが健康志向に走って大ゴケしたときに、「そもそもマクドナルドに来る人はそんなこと志向していない」ということで従来の路線に戻したところ(それだけではないと思いますが)、V字を果たしたというのは割と有名な話ではないでしょうか。同じようなことを最近感じていて、どこのお店も「全席禁煙」にしようとしている向きがありますが、あれはむしろタバコを吸う層が多いお店にとっては全くもってもったいない流れだと思います。こんな時代だからこそ、きちっと分煙をする、もしくはもうタバコを吸わない層には我慢してもらってでも喫煙可にすれば元のお客さんを逃さないどころか、行き場を失ったほかの喫煙家を顧客として取り込める可能性が大きくあるのではないでしょうか。

こういった考えが浮かんだのも、自分自身が最近気に入っていくお店の影響があります。お店はかなり小さいし、店主の子供もよく店先で遊んだり店内でお父さん、お母さんと話したりしているのですが、商品としてコーヒーにすごいこだわりを持っていることに加えて、子供、家族を大事にするそのお店の店主、そして雰囲気に強く魅せられているから好きで通っています。きっと、コーヒーを飲む店は静かで落ち着くところがいい、という人が多くいると思いますし、全くその考えを否定するつもりはないのですが、そういった人はそのお店に行かないでしょうし、実際そのお店に来る人はだいたいみんないろんなことを喋ってますし、お店の雰囲気が気に入った人だけがそのお店に行く、というような感じになっています。

 結論:味方を作るには「店が客を選ぶ」

だらだらと書いていて自分の考えが割とまとまった気がするのですが、結論としては「店が客を選ぶ」ことがいいんじゃないか、と思いました。お客さんに選んでもらおうすると、どうしたってお店側が疲弊してしまいます。むしろ、「店側が」自分たちのこだわりをわかってくれる「客を選ぶ」ことで、コアなお客さんを味方として取り込み、そこから情報を発信してもらう、というのが今の時代何より効率的なマーケティング戦略と言えるのではないでしょうか。ただし、途中に書いた通りそもそも提供しているコンテンツが魅力的でなければ話にならないという単純な、しかしとても大きな課題が残されていることを忘れてはなりませんが…。
ちなみに言っておくと、私は飲食業のコンサルをしているわけではないので、この話は経験に基づいたものでなく、自分の妄想を書き連ねただけだということをご理解賜れれば幸甚です。